オンラインカジノはお金を賭けて遊ぶもので、負けることもあれば勝つこともあります。勝った場合には儲けが生まれるため、当然ながら税金が発生する可能性があるでしょう。しかし、税金が発生すると言われても、次のように不明点だらけの方も多いかと思います。
- オンラインカジノの税金はいくらかかる?
- オンラインカジノの税金はどのタイミングで発生する?
- オンラインカジノの税金はどのように申告したら良いの?
税金を支払わないままでいると、無申告加算税など支払い金額が増えてしまうリスクがあります。また税金が発生するタイミングを正しく把握していないと、知らないうちに税金が発生していたという事態にもなりかねません。
そこで当記事では、オンラインカジノの税金計算方法や発生するタイミングなどについて、初心者でもわかるようにまとめました。事前に知っておけば怖いものではないので、この機会にチェックしてみてください。
- オンラインカジノの勝利金は一時所得として税金がかかる
- オンラインカジノで税金が発生する場合は確定申告が必要
- 課税対象となるのは負け金額を考慮しない純粋な勝利金
- 一時所得が2つ以上ある場合を除き年間70万円以下までは申告不要
オンラインカジノの勝利金には税金がかかる
オンラインカジノの勝利金は個人の一時所得と見なされるため、税金が発生します。日本のギャンブルで有名なパチンコ、競馬なども本来は一時所得であり、同じく税金が発生するものです。
日本の税法において非課税所得と定められていない所得はすべて、何かしらの税金が発生します。とくにオンラインカジノの場合は銀行口座へ振込の履歴が残ることもあり、税務署が厳しくチェックすることもできます。
また税金がかかる所得については、確定申告が必要です。毎年2〜3月にかけて確定申告の時期が儲けられているため、税務署またはオンライン上にて適切に申告するようにしましょう。
オンラインカジノで税金が発生するタイミング
オンラインカジノで税金が発生するタイミングは、勝利金を銀行口座へ換金した時です。勝った時にのみ税金の支払いが必要となり、負けた時は必要ありません。ただし注意が必要なのは、負けた金額が経費に含まれないということです。
勝利金は一時所得となり、ベットした金額は経費となります。つまり「一時所得(勝利金)−経費(ベット額)」が課税対象の収入です。負けた金額はいっさい考慮しません。
たとえば、次のようなケースがあるとしましょう。
プレイ日 | ベット額 | 勝利金 | 利益・損失 |
---|---|---|---|
1日目 | 10万円 | 20万円 | 10万円の利益 |
2日目 | 10万円 | 7万円 | 3万円の損失 |
感覚的に考えると、10万円の利益から3万円の損失を引いた7万円が課税対象となる気がします。しかし実際には3万円の損失が考慮されず、利益として上がっている10万円のみが課税対象となるのです。
このようにオンラインカジノは負けた金額分を差し引いて計上できず、純粋な利益にのみ税金が発生します。
オンラインカジノの税金はいくら?計算方法
オンラインカジノで税金が発生する理由や、発生するタイミングなどについてお伝えしました。ここでは、オンラインカジノの税金がどのように計算されるのか、実際にはいくらくらいの税金がかかるのかを解説します。確定申告をする際にも必要となる計算なので、目を通しておくと良いでしょう。
手順1:一時所得を計算
先述した通り、オンラインカジノで発生した利益は一時所得として税金が発生します。
一時所得には50万円までの基礎控除があり、50万円までの利益に対しては税金が発生しません。あくまで一時所得全体の話であり、オンラインカジノ以外にも一時所得がある場合は合算して考えなければいけません。
一時所得は、国税庁によって次のように定義されています。
一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。
簡単にいうと、給与や事業所得以外の臨時的な収入のことです。具体的には、次のような収入が一時所得とみなされます。
- 懸賞や福引でもらった賞金
- パチンコやスロットの利益
- 競馬や競輪で得た配当金
- 保険の一時金や満期返戻金
もしオンラインカジノ以外で上記のような収入もあった場合には、合わせて計算する必要があるでしょう。
また、一時所得は以下のように計算して求めます。
一時所得=収入−支出−特別控除額(50万円)
繰り返しですが、支出にオンラインカジノの損失は含みません。
手順2:一時所得の課税対象額を計算
一時所得がわかれば、次のような計算式で課税対象額を導きだせます。
一時所得の課税対象額=一時所得×1/2
手順1で計算した一時所得の金額が50万円だった場合は、1/2の25万円が課税対象額です。控除額の50万円は課税対象額から差し引くものではなく、一時所得の計算時点で差し引くものなので、注意しましょう。
また、課税対象額が一定金額を下回る場合には税金が発生しません。
手順3:所得税を計算
最後に所得税を計算します。会社員やフリーター、個人事業主の方はオンラインカジノ以外にも所得があるため、すべての所得を考慮した計算が必要です。
所得税=(給与所得など+一時所得の課税対象額)×税率−各種所得控除
「各種所得控除」は一時所得の控除額50万円ではなく、課税所得金額によって定められている所得控除を意味します。
以下のようなケースで実際に計算してみましょう。
- 職業:フリーランスWebエンジニア
- 事業所得:1,000万円
- 一時所得の課税対象額:100万円
課税所得が1,100万円なので、税率や控除額は「課税所得金額が900万円超1,800万円未満の場合」に当てはまり、税率33%、控除額1,536,000円となります。(日本の法律で定められており、国税庁が掲載している一覧表で確認可能)
計算してみると、次のようになります。
(1000万円+100万円)×33%−1,536,000円=2,094,000円
つまり、納税が必要な所得税額は「2,094,000円」です。
以上ですべての計算が終了となり、確定申告とあわせて納税を行います。
オンラインカジノで利益があっても税金がかからないケース
一時所得には控除があるため、オンラインカジノの利益が一定を超えなければ税金は発生しません。オンラインカジノの利益は基本的に確定申告が必要となりますが、税金が発生しなければ確定申告も不要です。
ここでは、実際にいくらまでの利益であれば税金が発生しないのか、ケース別に紹介していきます。
ケース1:一時所得が70万円以下
一時所得が70万円以下の場合は税金が発生せず、確定申告も不要です。なぜなら、次のような条件を満たしているからです。
- 一時所得の特別控除:一時所得には年間50万円の特別控除がある
- 給与以外の所得が20万円以下:給与所得者は給与以外の所得が年間20万円以下であれば確定申告が不要
また、所得税は一時所得の金額ではなく、一時所得の1/2の金額に対してかかります。
ケース2:会社員で年間利益が90万円以下の場合
一時所得が70万円以下の時に課税されないということは、会社員の場合、実質的に年間90万円までの利益に対しては税金が発生しないことになるでしょう。理由は、以下の通りです。
- 一時所得の計算:一時所得の課税対象額は「(利益−特別控除額)×1/2」で計算
- 非課税限度額:計算で得られた金額が20万円以下であれば確定申告が不要
90万円のうち50万円が控除され、残りの40万円×1/2=20万円が課税対象額となります
先述した通り、給与以外の所得が20万円以下の場合には課税されません。つまり、一時所得が70万円(会社員でオンラインカジノ利益が90万円以下)となるケースでは、確定申告が不要となります。
ケース3:無職で年間利益が146万円以下の場合
無職は年間利益が146万円以下であれば税金が発生せず、確定申告も不要です。なぜなら、無職は48万円以下の所得が確定申告不要となるからです。
- 一時所得の計算:一時所得の課税対象額は「(利益−特別控除額)×1/2」で計算
- 非課税限度額:計算で得られた金額が48万円以下であれば確定申告が不要
146万円のうち50万円が控除され、残りの96万円×1/2=48万円が課税対象額となります。
無職は課税対象額が48万円以下の場合に確定申告不要なので、146万円以下であれば税金も発生しません。
ケース4:一時所得が2つ以上ある場合は課税所得が48万円以下
一時所得が2つ以上ある場合は、年間の課税対象額が48万円以下の時のみ確定申告が不要です。
複数ある一時所得から課税対象額を導き、48万円以下の範囲内であれば税金を払う必要がありません。なお会社員で所得が2つ以上ある場合は、20万円以下の範囲内であれば不要です。
オンラインカジノの収入を確定申告・納税するやり方
オンラインカジノで税金が発生すると判明しても、どのように確定申告したら良いのかわからない方も多いでしょう。個人事業主やフリーランスの方であれば毎年確定申告をしますが、会社員の方にはとくに馴染みのない作業かと思います。
ここでは、オンラインカジノの収入を確定申告し、納税するやり方を紹介します。
手順1:年間の収入や支出を集計する
確定申告をするためには、収入や支出の集計が必要です。1月1日〜12月31日までの収支情報を集めて、エクセルのフォーマットや確定申告ソフトに入力しましょう。
負けた日の分は含めず、利益が出た日の勝利金やベット額のみを集めます。情報に誤りがあると正確な計算ができないため、間違いないように入力していきましょう。
手順2:必要書類を準備する
確定申告では、次のような書類が必要です。
- 支払調書
- 領収書(支出について)
- 源泉徴収票(給与所得者のみ)
紙面ではなく、データで送付されたものでも大丈夫です。提出は不要ですが、保管義務があるので確認しておきましょう。
手順3:確定申告書を作成する
年間の収支計算や必要書類の準備が終わったら、確定申告書を作成します。確定申告書を作成する際は、以下の内容に注意してください。
- 一時所得として記入
- 「種目・所得の生じる場所」にオンラインカジノ運営会社名を記入
- 「収入金額」は特別控除の50万円を引かずに収入額を記入
- 「必要経費等」には支出を記入する
確定申告ソフトや国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、必要情報を入力するだけで確定申告書を自動出力してくれます。税務署に出向いて確定申告書を記入するよりも簡単なので、利用してみてください。
また確定申告では、オンラインカジノ以外の収入等も記入が必要です。給与や事業所得、不動産所得なども事前に確認しておきましょう。
手順4:確定申告書を提出する
確定申告書を作成したら、所管の税務署に提出します。住む地域によって提出する税務署が異なるため、確認してみてください。確定申告書の提出方法は3通りあります。
- e-tax(オンライン)で提出
- 税務署へ郵送で提出
- 税務署で直接提出
確定申告書について不明点などがなければe-taxまたは郵送での提出が便利です。不明点があって質問したいという方は、税務署で相談しながら提出すると良いでしょう。提出期間は毎年2月16日〜3月15日です。
手順5:所得税を納付する
確定申告をしてから1ヶ月ほどが納付時期となります。納付する方法は次の5種類から選べます。
- e-Taxで納付
- クレジットカードで納付
- 振替納税(口座引落)で納付
- 納付書をもらって金融機関や税務署で納付
- QRコードを発行してコンビニエンスストアで納付
一部の納付方法では事前の利用申請が必要となる場合もあるので、案内に従いましょう。以上で、納税および確定申告が完了となります。
オンラインカジノの税金対策
オンラインカジノで税金が発生する金額の目安や、発生するタイミングがわかれば、税金がかからないように対策することが可能です。ここでは、税金がかからないようにするための対策を3つ紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
勝利金を50万円以下に抑える
誰でもできる簡単な節税方法は、勝利金を50万円以下に抑えることです。年間50万円までは特別控除があるため、50万円以下であれば税金がかかることはありません。
本来は会社員なら90万円、無職なら146万円まで課税されませんが、他の一時所得も考慮するなら50万円以内におさめておくようにするのが無難です。
出金額を50万円以下にする
50万円以上の勝利金に対して課税されるリスクがあるのはお伝えした通りですが、厳密には銀行口座に50万円以上を出金した場合です。つまりアカウントの残高に貯めておく分には問題ありません。
税務署も所得があるかどうかは銀行口座や国内企業の支払調書などを調査するため、海外で運営されているオンラインカジノの残高までは調査できません。出金額を50万円以下に調整しておけば、税金がかかる可能性は低いでしょう。
海外口座で運用する
海外の決済代行会社を利用して勝利金を海外の口座に入金すれば、一時的に課税の対象外となります。日本の税法では、オンラインカジノの勝利金を国内の口座に換金した時点で、課税対象とみなされるためです。
たとえば海外の決済代行会社であるPayz(ペイズ)などを利用する方法があります。日本の銀行口座へ送金する際に50万円以下に調整しておけば、課税となる可能性は低いでしょう。またPayzなどの電子決済サービスは、他のオンラインカジノへの入金にも使用できます。
ただし、この方法を利用する際には、口座を所有する各国の税法や規制をしっかりと確認することが重要です。
オンラインカジノの税金を払わないとどうなる?
オンラインカジノで得た利益に対する税金を払わない場合、ペナルティが課せられるケースがあります。無申告が発覚した時点で通常の税金よりも高い税率で支払いが必要になるため、税金はしっかりと支払うようにしましょう。
具体的に発生する恐れがある加算税は、以下の通りです。
加算税の名称 | 詳細 | 税率 |
---|---|---|
無申告加算税 | 期限までに確定申告をしないと発生する | 15〜20% |
重加算税 | 意図的に隠蔽するなど悪質な無申告に対して発生する | 35〜40% |
不納付加算税 | 源泉所得税を期限までに納付しなかった場合に発生する | 10% |
過少申告加算税 | 申告した税額が本来よりも少なかった場合に発生する | 10〜15% |
本来支払うべき税額に対して、一定の税率で加算されます。また期日を過ぎて支払う場合には、利子税や延滞税が加算されるリスクもあります。悪質性が高いとみなされる時は刑事罰に発展する可能性もあるので、十分に注意してください。
もし現段階で確定申告をしていない税金や未納の税金があれば、今からでも申告して納付するようにしましょう。
オンラインカジノの税金が会社にバレないようにするには?
オンラインカジノの税金が発生するのはともかく、会社にバレるのが嫌だという方もいることでしょう。会社員は何も対策しないまま一定以上儲けてしまうと、会社にバレるリスクがあります。
オンラインカジノを利用していることまでは分かりませんが、何かしらの副収入を得ていることが明らかになってしまいます。そのため、副業禁止の会社ではとくに注意が必要です。
ここでは、どのような対策を取れば会社にバレるリスクを減らせるのか、具体的に方法をお伝えします。
勝利金を年間90万円以下に抑える
もっとも確実な対策は、オンラインカジノの勝利金を90万円以内に抑えることです。会社員の場合は50万円までの特別控除に加え、一時所得×1/2の金額が20万円を超えなければ確定申告が不要です。
つまり、一時所得のトータルが90万円を超えなければ税金も発生しません。ただしオンラインカジノ以外にも一時所得がある場合は、注意が必要です。すべての一時所得を合算して90万円以内なので、その他の一時所得も考慮するようにしましょう。
住民税の支払い方法を「自分で納付」にする
確定申告をして所得が増えた場合、会社には住民税でバレるケースが多いです。なぜなら、所得が増えた分だけ、住民税も増えるからです。会社員の方は住民税の支払い方法を「特別徴収」としているケースが多く、住民税の納付書が会社宛に届きます。
住民税の賦課額は一律10%なので、給与額が変わっていないにも関わらず住民税が増えているのは不審です。たとえ副業を許可している会社であっても、どのような副収入なのか聞かれる可能性があるでしょう。
このような状況を防ぐためには、住民税の徴収方法を「自分で納付」にする必要があります。やり方は簡単で、確定申告の第二表にある「住民税に関する事項/住民税の徴収方法」で「自分で納付」に〇をするのみです。
住民税が原因で会社にバレるリスクがなくなるので、確定申告時に実行してみてください。
海外からオンラインカジノで儲けた場合の税金
日本国内でオンラインカジノを利用するのは賭博行為となる可能性があるため、海外から利用する方もいることでしょう。最近は出張や留学だけではなく、フリーランスとして海外に行く人も多いです。
そこで気になるのは、「海外からオンラインカジノで儲けたら税金はどうなるのか?」という点かと思います。ここでは、海外からオンラインカジノで儲けた場合、どのような税金の扱いになるのか、海外在住者向けにお伝えします。
住所が日本にある場合
住所が日本にある場合は、日本の「居住者」という区分になるため、日本の法律に従って確定申告や納税が必要となります。日本国内に住所があるかどうかは、日本に住民票があるかどうかで確認可能です。
海外に1年以上行く場合は海外転出届が必要で、本来住民票を外すことになります。ただし、短期の留学や移住で海外転出届を出さない方もいることでしょう。海外転出届を出していないのであれば日本居住者とみなされ、基本的に納税の義務が発生します。
ただし海外に銀行口座を持っていて、日本国内の銀行に送金を行わないのであれば、税務署が調査できないため課税されるリスクは低いでしょう。
住所が海外にある場合
住所が海外にある場合は、日本の「非居住者」という区分になるため、日本での確定申告や納税は不要です。ただし、居住国の法律に従って課税される可能性があります。
たとえばオーストラリアに住所を持っている場合は、オーストラリアの法律に従って申告や納税をする必要があるでしょう。税金に関する法律は各国で異なるため、事前に調べたり、専門家に相談したりしておくのがおすすめです。
オンラインカジノの税金についてよくある質問
オンラインカジノの税金について、よくある質問へ回答します。
オンラインカジノで発生した税金はしっかり納める
当記事では、オンラインカジノで発生した勝利金に対して、どのように税金がかかってくるのかを解説しました。日本国内の銀行口座に一定以上の金額を送金したタイミングで発生するので、金額が大きい場合には課税対象にならないかどうかしっかりと確認しておきましょう。
確定申告をしなかったり、納めるべき税金を無視したりすると、追加費用や刑事罰につながる恐れがあります。毎年2月16日〜3月15日が確定申告時期なので、前年の収支をしっかりと計算して申告するようにしましょう。
もし難しくて計算できないという方は、税務署や税理士に相談してみるのも一つの手段です。また、そもそも税金が発生しないようにするため、勝利金を50万円以内におさめるなどの対策も考えられます。
事前に準備しておけば問題なく対応できるので、今回の内容を参考にしながら、税金をしっかりと納めるようにしましょう。